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【X(旧ツイッター)上での解説集(1)】ページと【X(旧ツイッター)上での解説集(2)】ページにも、各話についての解説や感想があります。
また、各話のメインスタッフについてはこちらをご覧ください。
ピネロン星で体制批判と平和運動の先頭に立つのはゴーグリ博士。宇宙航空学専門の学者で、ピネロン大学の名誉教授だ。人気があるために手を出しかねていたホイヘンスもさすがに業をにやし、彼を逮捕する。
それとともに、国内不満分子を抑えるために彼の主張を逆に利用しろというイモシの提案に従い、新たなもくろみにでる。
ほどなくして地球に、ピネロン星からの休戦条約の申し出が届く。
場所は火星。ピネロン側からはホイヘンスとイモシ、地球側からはビッツとソクラトンと国連議長が参加することが条件とされた。
疑心暗鬼に陥る地球側ではあったが、ビッツの一存で承諾。ソクラトンも当然賛成。
しかしピーターは、罠ではないかという疑いを消すことができない。
そこで、調印のさいに使ってくれと、ソクラトンに謎の万年筆を手渡す。
火星には真っ先に、地球の設営隊が資材とともに到着するが、待ち伏せしていたピネロン兵たちによって全滅させられる。
やはり罠だったのだ。ピネロン兵が地球兵に化けて会場をつくりあげ、当日を迎える。
当日、地球のマスコミの監視のもとで、調印式が行われる。しかし、やがてマスコミは排除され、ビッツたちが気づくと、まわりはピネロン兵だらけ。
降伏文書を迫られ拒否すると、3人とも拘束されてしまう。
そんな様子を、ピーターはトランクをあけてじっと見つめていた。
(ソクラトンに渡した万年筆に録音機能付の隠しカメラが入っていたらしく、トランクの内壁をスクリーンにして、現地からの映像を見ていたものと思われる。)
火星から送られてくる操作された映像を見て、調印成功を喜ぶ司令官代理のニック。そこに遊星仮面が現れ、まもなくピネロンの円盤隊が襲ってくることを告げて去る。
急ぎ防衛体制を整えるニック。
仮面は次に火星に向かい、ビッツたちを救う。さらにゴーグリ救出のためにピネロン星へと向かう。
ゴーグリは、特殊な牢獄に監禁されていた。まわりには、煮えたぎる池、電流の網、ロボット兵たち。
しかし遊星仮面はそれらを突破し、高い塔をもよじ登り、ゴーグリを救出し、なんなく空からライダーで脱出。
彼を地球にまで連れていき、長年の友人であったソクラトンと再会させるのであった。
冒頭唐突に出てくる、ピーターとリンダ2人による病院慰問のシーン。前回(27話) トーカサス星での戦闘で多くの負傷者がでたらしいことを暗示させ、そのうえでの慰問なのでしょうが、これが大問題を引き起こします。
最初は喜んでいた兵士たちも、ピーターのピネロンマークを見て態度が一変するのです。
「こんな奴の見舞いなんか受けるな!」「ピネロンのまわし者め!」「悪魔だ、お前にその血が流れてるんだ!」「収容所にほおりこんで重労働させろ!」
思う存分罵声をあびせて、子供2人にモノを投げつける大勢の大人たち。
こんな理不尽な、ひどい目にあわされながらも、ピーターはつぶやくのです、「戦争がいけないんだ」と。
理不尽な迫害、自らのアイデンティティを否定されるような仕打ち。3クール目には、ピーターを苦しめるエピソードが多い。それを象徴するような冒頭シーンです。
そしてメインストーリーにおいては、こんな彼が誰よりもピネロン側を悪く見、疑うのです。それがなんとも痛々しい。
しかし、物語の終盤には一転してお笑いに転じます。
ゴーグリの牢獄があまりにもチャチなのです。どんなにまわりを固めても、上―――空がガラ開き!
遊星仮面がピネロン星と地球間を瞬間移動していることも含めて、あまりにもオモシロすぎです。
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【皆様からの作品批評 第3クール(1)(28話~36話)について】ページより、こちらもご参照ください。
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ゴーグリは、国連議会で亡命が認められるまでソクラトン邸で滞在ということになった。
しかしキニスキーは、それまでの間は捕虜として扱う、収容所にほおりこむ、と言って聞かない。ビッツも、彼から軍の規律を持ち出されてはまともに反論ができない。
さらにゴーグリは、地球に潜伏しているサップスからも狙われていた。
なぜなら、今ピネロン軍が使っている円盤や宇宙ステーションは、もとはといえば彼が宇宙開発用に設計したもの。つまり、軍事機密全般を知る立場にある彼の口封じを狙ってのことであった。
そんなゴーグリを、ピーターは遊星仮面となり何度となく助ける。
あきらめきれないキニスキーは、ビッツとソクラトンが前線基地への視察に出かけたあと勝手にソクラトン邸にしのびこみ、ゴーグリをとらえる。
拷問にかけピネロン側の軍事機密を聞き出そうとするが、ゴーグリは双方の攻撃が激化することをおそれ、口を割らない。
そんな時、事態を知ったピーターとリンダが駆け込んでくる。するとキニスキーは今度は、上官のニックの言うことも聞かず、ゴーグリとピーターをローレル島にぶち込めと命令する。
ローレル島。そこには兵器工場とピネロン人捕虜収容所があった。
ピネロン人たちは兵器工場で、地球側の使う武器を強制的につくらされていた。
ソクラトンはビッツとともに、前線基地のひとつであるこの施設の点検に来ていたのだが、偶然ピーターの母マリアと出会う。
「戦争が終わるまで辛抱しなさい」と、ピーターの無事も告げて、その場を去る。
彼らと入れ替わるように、ゴーグリとピーターが島に到着。
ゴーグリは兵器工場に送られるが、彼が中に入ったとたん、急に騒然となる。
平和主義者で人望のあるゴーグリはピネロン人誰もが知っており、そんな彼に強制労働させることに人々が猛反発したのだ。
地球軍が騒ぎを抑えようとしたところで、空襲警報が鳴り響く。ピネロン側の攻撃であった。
軍事機密が流出することを極端に恐れたホイヘンスは、こともあろうに同胞のいるローレル島への攻撃を命じたのである。
「いかなる犠牲を払っても」という命令に、誰も逆らうことはできない。
地下の防空壕に逃げ込む捕虜たちにも、爆弾が降り注ぐ。そんな騒ぎの中でゴーグリはマリアと出会い、一緒に逃げる。
ピーターは、自分のトランクを持って潜入していたパイクとマックから、トランクを奪還する。
やがて現れた遊星仮面は、ピネロン側の理不尽な攻撃を排除していく。
そんなおり、彼の目の前に現れたのは、地上にまで逃げてきたゴーグリとマリア。
遊星仮面とマリアとの間で一瞬、時が止まる。
しかしそこにピネロン兵の銃が。ゴーグリは自分の命を犠牲にしてマリアを守る。
やがて、島の一角にゴーグリの墓が作られ、彼が「平和のシンボル」と語ったバラの花がささげられる。
しかしその場にいたのは、ピーターとリンダとソクラトンとビッツのみ。
彼を慕う大勢のピネロン人捕虜たちは、収容所が破壊されたためにまた別の収容所に送られることとなり、大型船に乗せられていた。
マリアもその中にいた。
船を必死で追うピーター。
母はいったいどこへ?
「それはわからない。しかし戦争さえ終わればママはきっと帰ってくるよ。」 ソクラトンはそう答えるしかなかった。
惜しいことに絵が悪い。それでもアニメ史に輝く名作であり問題作でしょう!
バラを平和のシンボルとして描いた2作目ですが、1作目よりはるかに重い。
平和を語れば語るほど、平和を望めば望むほど、戦争の本質とその残酷さが浮き彫りになってくるのです。
要となる人物は、ゴーグリとキニスキーとホイヘンス、そしてピネロン人捕虜たち。
キニスキーは言う、「いくら口で平和を唱えても戦争は終わらないんだぞ。勝つか負けるか、要は戦力にある」。それに対しゴーグリは、「いや、武器のあるところに平和はない。お互いが理解を持って歩み寄ることが大切じゃ」。
ですがゴーグリが平和を求めれば求めるほど、地球側(キニスキー)からのみならず、味方であるはずのピネロン側(ホイヘンス)からも攻撃されることに。そして、ある意味「つまらない」ことで、ひとりさびしい死を迎えるのです。
マリアを含めたピネロン人捕虜たちも辛い立場にあります。彼らは、自分たちの同胞を殺す武器をつくらされているのです。
そのことに抗して暴動が起こったり、精神に異常をきたしたりする者もいたはずです。
彼らをこんな目にあわせる地球側は、果たしては正しいのでしょうか?
あるいは、同胞を殺そうとしたピネロン側の行為はもちろん弁護できるものではありませんが、こういうことは戦時下においてはよくあることのはず。
果たしてホイヘンスだけが特異だと言えるのでしょうか?
軍や国は、決して民衆を守るものではない。民衆は敵味方双方から、ただ理不尽に振り回されるだけ。
戦争のこうした残酷さが、この話にはしっかりと描かれているのです。
さらにこの話は、「遊星仮面」という作品を定義づける意味でも重要な作品です。
この話がなければ遊星仮面は、地球人の味方でピネロン人は悪いからやっつけている という月並みな勧善懲悪ヒーローにおさまってしまいます。この話があってこそはじめて、地球という惑星を守っているのだということがわかるのです。
具体的には、地球に住む者すべて。地球人であろうともピネロン人であろうともかかわりなく。
絵に少々難がありますが、広く一般に見てもらいたい作品ですね。
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【皆様からの作品批評 第3クール(1)(28話~36話)について】ページより、こちらもご参照ください。
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戦争を終わらせるために、地球の議会は、ピネロン側を上回る強力な武器の開発を決定。使わずとも保持しているだけで相手が恐れをなし、攻撃をしてこなくなることを狙ったのだ。
そのために、国際平和科学研究所のヒッコリー博士に協力を願い出る。
彼は最初は拒否するものの、1人息子の戦死を知り、戦争を終わらせるためならと協力を決意。自ら開発したチェーンQL火薬をもとにした爆弾の製造にとりかかる。
そのことを知ったホイヘンスは、爆弾を奪いとろうとサップスのゴードンを地球に送る。
脳波をかく乱する特殊な笛を持った彼は、数人の部下とともにヒッコリーの研究所に侵入。
そこにはたまたま、爆弾を完成させるために必要な薬品をソクラトンのもとから届けにきていたピーターとリンダが。また、パイクとマックが爆弾を狙ってひそかに地下から潜入してきていた。
笛でヒッコリーとピーター、リンダを気絶させたゴードン。しかし、完成したばかりのチェーンQL爆弾は見つからない。すでにパイクとマックに盗まれていたのだ。
やむなくゴードンはヒッコリーと、彼の娘と勘違いしたリンダを拘束。遊星仮面が現れるも、彼も笛の音にやられ、3人もろともゴードンの宇宙船に収容される。
そこにパイクとマックが現れて亡命を願い出る。彼らの持っているものが例の爆弾と気づいたゴードンは、すんなりと要求を受理。
宇宙船に乗り込んだ2人だったが、ほどなく裏切られたことに気づく。
遊星仮面捕獲に喜ぶホイヘンス。素顔を見たがる彼であったがイモシの進言もあって、仮面をはがすことなく宇宙葬に処せとの命令をゴードンに下す。
やがて遊星仮面を乗せた宇宙船は宇宙に放たれ、ミサイルが打ち込まれる。
嘆くリンダとヒッコリー。
一方、これで安心したホイヘンスとイモシは、ゴードンたちをいったん「死神の星」と呼ばれる不毛の惑星に向かわせることに。
QL爆弾はたいへんな危険物ゆえ、ピネロン星に直接持ち込むのは危険だと考え、「死神の星」でミサイルにとりつけて、そのまま地球へと送り爆発させようという企てに出たのだ。
ゴードンたちが「死神の星」に着くや、ピネロン星からもミサイルが到着する。
ゴードンは、リンダを人質にしてヒッコリーを脅し、ミサイルに爆弾をとりつけさせようとしたところで、遊星仮面登場。
遊星仮面はゴードンの部下と入れ替わっていた。宇宙葬に処せられたのはその部下。防聴器により最初から笛の音が利いておらず、すべてが演技だったのだ。
やけになったゴードンは、自ら爆弾をミサイルにとりつけ、地球に向けて発射させる。
仮面はヒッコリーたち4人を、すばやくゴードンの宇宙船に乗せて避難させると、ライダーでミサイルに近づいて自動操縦装置を破壊し、進行方向を変えさせる。
ミサイルが自分たちの方に向かってくることに仰天したゴードンは、自爆装置を使ってミサイルを爆破するも、同時にQL爆弾が爆発。次から次へと爆発の連鎖を繰り返していく。
そのおそろしいありさまを宇宙船から目にするヒッコリー。
武器を持つこと自体が戦争を加速させるのだとあらためて認識し、2度と爆弾などつくらないことを強く心に誓うのであった。
あらすじだけを見ていると、反戦への願いのこもった深刻な話のはずなのですが、残念ながら映像からはそれがあまり伝わってきません。
QL爆弾の威力というか、残酷さが、視覚的にうまく表現されていないからだと思います。当時の技術の限界といったところでしょうか。
疑問点もあります。「(遊星仮面は)何をしでかすかわからないから、はやく葬れ」と、いくらイモシが進言したとしても、ぜったいにあのホイヘンスだったらなんとしてでも仮面をはがして素顔を見ようとするはずです。
なのになんで?よっぽど虫の居所が良かったんでしょうか。
さらにもっと疑問なのは―――ゴードンの部下は遊星仮面の格好をさせられ宇宙葬に処せられるんですが、つまりあれって、遊星仮面の予備の服ってこと?あるいはダミーの服?
ピーターはいつもあんなものを余分に用意していたんでしょうか。真相はどうなんでしょう。
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【皆様からの作品批評 第3クール(1)(28話~36話)について】ページより、こちらもご参照ください。
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1匹のサイボーグ犬を連れ、ハチュン率いるピネロン軍がひそかに地球に侵入していた。
そうとは知らず、相次ぐ重要施設への爆破テロに、サップスの侵入がないのになぜ?と、首をかしげる防衛隊本部。
ひとりキニスキーは、地球にいて捕まらず潜伏しているピネロン人か、混血児のしわざではないかと主張。ピーターに疑惑の目を向ける。
そして、防衛軍特務機関に所属するベルタが、身分を隠してピーターの家庭教師としてソクラトン邸に入り、ひそかに彼の監視にあたることになる。
ある夜、ハチュンたちはレーダー基地に侵入。遊星仮面が現れ、地球軍も現れるものの、爆破の目的だけは果たして退却する。
彼らは気づかなかったが、退却直前に放った電子銃が、偶然仮面のマスクを直撃し、破壊していたのだ。
さらされる素顔。それをサイボーグ犬に見られたことに仮面は気づき、追いかけようとするが間に合わない。
さらに、爆破の炎を背景にピーターとしてひそかに帰ってくる姿をベルタに見られ、一連の爆破テロに関与しているものと思い込まれてしまう。
翌日の昼、ひとり沼のそばにたたずむピーター。母を想い物思いに沈む彼に、いきなり石が投げつけられる。
混血児をさげすむ少年とその母親によってだ。
手出しもできずにひとり苦しむピーター。
ベルタはそれを見ても、当然の報いだと思うばかり。
彼女からの報告を聞いたキニスキーは、ピーター逮捕に向かおうとする。
そんな時サイボーグ犬が現れる。
続いて現れた遊星仮面は、記憶を消すためには殺すしかないと、犬を追いかけ、沼の底へ。そこでピネロン軍の基地を発見し、ハチュンたちの待ち伏せ攻撃に遭遇する。
不利な水中戦を避けようと浮上する遊星仮面を追って地上に出たハチュンたちは、キニスキーたち地球兵に見つかり、やむなく宇宙船に乗って宇宙へと逃走する。
船内ではサイボーグ犬の意思が確認され、記録映像が再現されるが、遊星仮面の素顔が画面に現れる直前に、宇宙船ごとすべてが爆破。
追ってきた遊星仮面がライダーからミサイルを放ったのだ。
地球上では、逃げ遅れたピネロン兵ひとりが、ピーターに石を投げた少年を人質に、キニスキーと対峙していた。
キニスキーは、助けてくれと懇願する母親を無視して撃てと命じるが、寸前でピーターが飛び出し、少年をピネロン兵から引き離す。
ピネロン兵は倒され、少年は母のもとに戻り、2人とも一転してピーターに頭を下げる。
しかしキニスキーだけは態度を変えることなく、あくまでも彼を逮捕しようとするが、一連の事態を見ていたベルタは、ピーターの心の優しさに気づき、自らの過ちに気づく。
すべては自分の報告ミスだったと主張して、キニスキーから彼を守りきる。
そして心の通じ合ったピーターとベルタは、沼のそばで互いに手を握り合うのであった。
「お前にはピネロンの血が流れている。お前はピネロン人だ!ピネロン人は悪だ!」というキニスキーに対し、「違う、戦争が悪いんだ。僕は地球人だ!」と、戦争そのものこそ悪だと指摘し、自らのアイデンティティを主張するピーター。
彼はさらに、自分を痛めつけた憎らしいはずの少年をかばった時には、「子供をまきぞえにするな!子供は戦争には関係ない!」と、9話の時と全く同じ主張を繰り返します。―――「遊星仮面」という作品のメッセージそのものをはっきりと明言するのです。
さらにこの話では、キニスキーに殺されかける少年を通じて、全体のためなら個は無視される戦時下での悲劇、軍は国を守ろうとも民衆は守らないという現実を引き出させています。
まさにシリーズ屈指の傑作のひとつであり、遊星仮面とはどういう作品か と問われた時に、1番参考となる話といえるでしょう。
この話以降、ベルタはソクラトン邸に居つき、レギュラーの一員となります。
素性はバレたのに、ピーターの家庭教師でい続け、同時に家政婦のような立場におさまるのです。
どうもキニスキーからの指示とは思えません。自らの意思のようです。
宇宙船の破壊にはいつものシューターではなく、はじめてミサイルが使われます。確実に消し去りたという、強い思いの現れでしょうね。
そうやって一発でこっぱみじんになった宇宙船。中にいたハチュンですが、死んでいません(35話に再登場)。
どうやって脱出できたのでしょうか。大いなる謎です。
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防衛隊本部が、突如ピネロンのロボット部隊の襲撃を受ける。遊星仮面が現れすべてを倒し、被害は最小限ですんだものの、ロボットたちはいったいどこから?
ビッツは、地球上のどこかに秘密基地があるものと踏み、一般市民への協力をつのる。
そんななかでピーターとリンダは、あやしい人物を見つけて尾行するが、途中で気づかれてピーターだけが捕らえられる。
そのあやしい人物とは、ピネロン軍のネスマン軍曹。彼に連れてこられた場所は、ある岩山の中にある秘密基地。ロボット工場もここにあった。
ネスマンの上官にあたる将校は、処刑予定のピーターに対し、ぺらぺらと基地の秘密をしゃべる。それによると―――基地の電波塔から毎晩、防衛隊のレーダー網に向け妨害波を流し続けており、その間に、宇宙ステーションからごく強力な圧力で送られてくるロボットの部品を次々と、わずか2、30秒の間に受けとっている―――とのことだった。
やがて、リンダがピーターの監禁場所を探り当てる。
彼から指示されたとおりに、抜け道を使って車に残してきたトランクを届けようとするが、パイクとマックに邪魔され、結局3人ともネスマンに捕まる。
ネスマンは乱暴にピーターたち4人を扱うが、ある事故に遭遇し、ピーターに命を救われる。
「なぜ助けた?」との問いに、ピーターはそんなことは当然だと答えるばかりで、ネスマンは混乱。
それでも上官から言われたとおりに、4人を銃殺刑に処す手続きに移るが、ピーターだけはドサクサにまぎれて逃亡。無事トランクを手に入れる。
やがて銃殺刑執行直前に、遊星仮面が現れ3人を救出。秘密基地は地球側の知るところとなる。
仮面は将校を追い詰めたところで、逆に危機に陥れられる。
そんな仮面を間近で見たネスマンは、彼がピーターではないかと気づき、助けたことで、将校に撃たれる。
仮面は将校を倒すが、すでにネスマンは虫の息。ピーターへの礼を言い残して、息を引きとる。
その後仮面は、ロボット部品を送る大元の宇宙ステーションをも破壊。危機は去る。
帽子にマフラーという、およそピネロンの軍人らしからぬラフな格好をした殺し屋風のネスマン。やたらおしゃべりの○ゲの将校。そして、「僕は目の前で苦しんで死んでいく人間を黙って見ていられなかった」と気恥ずかしいセリフを堂々と吐き、「だったらピネロンの一般兵士を簡単に殺すなよなー」と横からツッコミを入れたくなるぐらい偽善者ぶったピーター。
そのピーターは、死のまぎわでのネスマンの「一言あの時のお礼が言いたかった」との思いを突っぱね、「私はあなたを助けた覚えはない、私の正体は誰も知らない」などと、非情にも正体をあかすことを断固拒否してしまうのです。
ピーター君、人格つぶれています。そのせいでしょうか、9話同様敵が悔い改める話なのに、あんまり重みを感じられない。
加えて、リンダちゃんもかなりヘン。ピーターが1人で逃げ出したことに対し、見捨てられたような思いや、(ピーターとして)助けにきてくれなかったことへの失望や怒りが、少しはあってもいいはずなのに……。
物語の最後になって、ふらりと家に戻ってきたピーターに対し、「あら、(あれから)どこ行ってたの?」などと、能天気に聞くだけですむんですからね。
まあストーリーはともかくも、この話、絵はキレイです。なかでもリンダちゃんがかわいい。
今までとはうってかわった聡明さがあり、絵になる遊星仮面とのツーショットもあります。なかなか萌えますよ。
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ホイヘンスの命で地球に潜入することになったデビル博士とサップス2名。
彼らがイモシから渡されたのは、シャドーラ(シャドラー?)という、無色無臭の特殊薬液。一定の超低周波に反応するため専用の探知器でキャッチでき、しかもすぐに乾くため、つけてもまずそのことに気づかれない。
これを遊星仮面につけて、居場所を突き止め、正体をさぐろうという作戦だ。
この作戦のためだけにピネロン軍は、今や地球が占領しているトーカサス星を攻撃する。やってきた遊星仮面に、デビルたちがひそかにシャドーラをつけるやいなや、全員撤退。
首をひねる防衛隊本部。とはいえ戦闘がはやく終わったおかげで、ソクラトンの誕生パーティーが、関係者全員出席のもとで無事とりおこなわれることに。
人であふれかえるソクラトン邸。シャドーラの反応を見てやってきたデビルも、これでは状況を見守るしかない。
翌日、掃除に追われるベルタとリンダ。パイクとマックは、ゴミのなかから遊星仮面の秘密を探りだそうとクズ屋として入り込み、本人たちも気づかないうちにピーターのトランクをゴミとしてとって、持って行ってしまう。
それを知ったピーターは2人を探すが見つからない。2人はデビルたちに捕まえられ、宇宙船に連れ込まれていたのだ。
ホイヘンスとイモシが画面から見守るなか、彼らは遊星仮面として尋問されるものの、もちろんおバカな答えしか返ってこない。
やがて、彼らからは肝心のシャドーラの反応が消えていることがわかる。じつは(シャドーラの付着した服の入った)ピーターのトランクは、彼らが捕まる混乱のなかで、近くの川の中に落ちてしまっていたのだ。
シャドーラの反応は途絶えたまま。そのためデビルは、ホイヘンスからの指示に従い、遊星仮面をおびき寄せるべくビッツのいる防衛隊本部を襲う。
円盤隊にとり囲ませ、遊星仮面を待ち続けるが、やがて地球側の本格攻撃を前にやむなく撤退。
この騒ぎのなかで、地球側はサップスひとりを捕らえ、彼から探知器(デビルが持っているものと同型)を手に入れ、作戦のすべてを聞き出す。
そんななかで、探知器が再び反応を示す。デビルの探知器も同様に。
反応地点は川。トランクからシャドーラが漏れ出したのだ。
誰よりも先に現場へと向かうピーター。彼を追うリンダ。
やがてトランクを発見したピーターは、リンダが野の花に気をとられているすきにそれを拾い上げ、かつての自分の家まで行って火をおこし、服を乾かす。
その間ずっとシャドーラの反応地点付近にいたリンダは、デビルたちに遊星仮面と間違えられ、連れ去られてしまう。
遅れて到着したソクラトンやビッツたちは、リンダのペンダントが落ちていたことで、彼女の身に何か起こったことを知る。
ピーターは、彼女が持っている通信器(トランシーバー)から事態を知る。
宇宙船内で尋問されるリンダ。そこに、シャドーラの反応もなく乗り込んでくる遊星仮面。
度重なる失態に激怒したホイヘンスは、デビルたちを仮面ごと始末するようイモシに指示、宇宙船を爆破させるが、直前に仮面は無事脱出。
リンダ救出の知らせを聞いたソクラトンたちは、シャドーラの示すのとは全く違うところに遊星仮面が現れたことを知り、こんなもの何の役にも立たないとして、探知器を廃棄する。
一方、ゲートに阻まれずっと川の一定箇所に留まっていたシャドーラは、ゲートが開いたことにより、静かに流れ出していく。
ソクラトン邸では、ベルタの加わった新しい家族のもとで、遊星仮面に助けられたことをうれしそうにしゃべるリンダの姿があった。
全編ギャグです。キャラたちがよく動いています。
特にデビルは、おんなじとんがり○ゲとはいえ、12話に出てくるゴロツキーのようなイカれたキャラではないものの、状況が悪すぎて完全なおバカキャラになってしまっています。
レギュラーではパイクとマイクのバカさが光っています。ホイヘンスから「知性と教養のない顔」と言われてしまうありさま。
ベルタは完全に、ソクラトン邸の主婦と化します。
となると、彼女が来る以前には、ソクラトン家の家事は誰がしていたのかが気になるところ。
リンダちゃんだけでは(ピーターが加わったとしても)おそらく無理。家政婦でも雇っていたのでしょうか?
あと細かいことですが、リンダのペンダントは拉致される時にとれたはずなのに、尋問シーンではちゃんと元どおりについています。
まさかこれも予備?
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ホイヘンスから命を受けたサップスのユンゲは、地球兵に化けてレーダー基地に侵入。イモシから命を受けたという同じサップスのシュルツの助けを得て、軍の機密書類をマイクロフィルムに写し、靴の中に隠したところで、兵に見つかる。
ヘリコプターで逃走するが、途中で撃ち落とされ、続いて登場した遊星仮面にシューターで左足を打たれ、瀕死の重傷に。
それでもマイクロフィルムを渡すまいと必死で逃げ続け、やがて道路で倒れているところをソクラトンに発見される。
左足の傷が再度開いたら10秒ともたずに絶命する重傷と診断されたユンゲは、ローレル島から逃走した民間人とみなされ、体が回復するまではソクラトン邸で保護されることになる。特務機関所属のベルタも口外しないことに同意。
ピーターだけは彼を危険人物だと主張。しかし、「どうしてそんなことがわかるの?」とリンダにたずねられても、その理由を話すことが出来ない。
ソクラトンにもベルタにもわかってもらえない。ひとり苦悩するピーター。
ユンゲはひそかに仲間と連絡をとり、待ち合わせの日時を打ち合わせる。
しかしピーターの監視により、部屋を出ることすらできない。
事態を打開すべくピーターは、あろうことかずっと自分を苦しめ続けてきたキニスキーに、直接連絡をとろうとする。
しかし、電話がつながったところで盗聴されていることに気づき、動揺。そのわずかなすきに、ユンゲは逃走。
この騒ぎの中で車を奪われ、やっとベルタとリンダも真相を知る。
ユンゲが廃墟のような街なかに立っと、待機していた円盤が現れる。同時に遊星仮面も現れ、戦いに。
劣勢に立たされた仮面は、やむなくユンゲの左足にシューターを放つ。
それでユンゲは仮面の正体に気づき、息絶える。
つかさず仮面は彼の靴からマイクロフィルムをとり出すと、待っていたかのようにそばに地球軍将校が立っていた。
彼に要求されるままにフィルムを渡そうとしたところでキニスキーが現れ、将校に化けていたその男の素性を明かす。
サップスのシュルツ。キニスキーは怪しいとにらんでずっと調べていたのだ。
シュルツはあわててキニスキーからフィルムを奪いとるや円盤に飛び乗るが、遊星仮面のシューターで一撃されてしまう。
事件が解決したあとのソクラトン邸。なぜか皆、だまされていたことに怒ることなく、「人間はみな信じ合って明るく生きていかなくてはならん」と説くソクラトンの言葉が響いていた。
シリーズ中、最もピーターが苦悩する話。
ユンゲがサップスだという事実を明かすためには、まず自分が遊星仮面だという事実を明かさなくてはいけない。それができないがために、母親と同じピネロン人を疑うという彼の行動は、まわりの者たちの目には理解しがたいものに映ってしまいがち。
冷酷な人間に思われてしまうのは、もちろん本人が一番納得できないことでしょう。こうした状況に苦しみイラだち、結果、発作的に素手で石を投げて木を倒すという行動まで見せてしまいます。
そしてあろうことか、宿敵ともいえるキニスキーにすがりつくにまで至るのです。……辛い。
ところでこの話は一見すると、人を軽々しく信じちゃいけない というのがテーマのように見えてしまいます。
子供なら、「やっぱりピネロン人は悪人なんだ、信じちゃいけないんだ」と受けとってしまうのでは?―――それじゃいけないからというのか、物語の最後にいきなり、「信じ合うことが大切なんだ」というソクラトンの言葉が入るんですけど……突拍子すぎて説得力ありませんて!
ただ映像をよーく見れば、ユンゲさん、ソクラトン邸の人たちにまったく危害を加えていない。さんざん邪魔をしたピーターに対してもです。
悪役的な怖い顔をしてはいますが、じつはまじめで任務に忠実な人なのでしょう。
たしかにソクラトンが言うように、信じ合えばひょっとしたら共鳴できるところもあったかも……しれませんね。
そしてもうひとつ、この話には隠れた意義があります。最終話に向けての伏線が張られた最初の話であること。
ホイヘンスからではなくイモシから指示を受けたというシュルツの言葉が、きまじめなユンゲには理解できない。
このことが暗に、ホイヘンスとイモシとの悲劇的対立を予感させるのです。
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地球の宇宙ステーションの作戦図を奪ったひとりのサップスが、遊星仮面に追われ、親衛隊に捕らえられる。
彼から聞き出した話によると、金星にピネロン軍が続々到着しているとのこと。
ホイヘンスやイモシまでもが来ているらしい。しかし金星は常にどこかで火山が噴火し、常に地面が揺れ動いている地。基地建設には不向きな場所なのにいったいなぜ?
それを調べさせるためにビッツは、キニスキーと親衛隊を金星に送り込む。
ひょんなことで作戦図を手に入れたパイクとマックも金星に向かうが、着陸に失敗。遊星仮面に助けられるものの、彼がその場を離れると、つかさずホイヘンスたちのもとへ走る。
作戦図と引き換えに亡命を願い出るつもりだったのだ。しかし「金星作戦が成功すればこんなものいらない」として、逆に死刑を宣告されて監禁される。
が、またも遊星仮面に助けられ、やっと自分たちの愚かさに気づく。
金星に入り込んだキニスキーたちは、ある特殊なTVを持っていた。そこに映し出されるのは、R19号(こうもり?こうもりロボット?)の群れからの情報。彼らの脳波を受信して、絵と音に組み立てて映像化するのだ。
(今で言えば、R19号は動くデジタルカメラで、TVはパソコン。)
うち1匹は、遊星仮面とハチュンたちピネロン軍との交戦に巻き込まれて傷つき、偶然にもライダー内に落下。
ハチュンはキニスキーたちにも気づき、彼らを襲撃。逃げられはしたものの、情報収集に使っていたTVを手に入れる。
ハチュンがTVを見ると、映っていたのはライダーから見た遊星仮面の姿。ベルトをライダーに残し、水辺にいた。
マスクをはずし、それを水で洗う姿までもが映しだされるが、素顔は枯葉が邪魔して見えない。
やがてマスクをつけた遊星仮面の前に、ハチュンたちが立ちはだかる。
ベルトをはずしていてはシューターを使えない。
追いつめられる遊星仮面。しかしその時、火山の大爆発が。
5千年に1度、地球に近づく金星。この時期を利用して金星を起点にピネロン軍は地球に総攻撃をしようとはかるが、一群の火山の大爆発までは予期できなかった。
かろうじてホイヘンス、イモシ、ハチュンたちは撤退。地球の危機は去る。
金星に水なんかない、草なんか、木なんか、枯葉なんかない!そんなもんあるわけないだろ!―――といった点は完全に無視しましょう。でないと話が成り立たなくなりますから。
キニスキーとハチュン―――権力側の使いやすい捨て駒という点では同じ2人の活躍が光っています。
パイクとマックの改心は、次回37話と最終話への伏線となっています。
今のパソコンにそっくりのものが登場していることは、まさに時代の先どりです。
それにしても遊星仮面、どうしてあんなマヌケなことをしたのかわかりません。ベルトをはずした意味がわからないので、かなり不自然です。
さらに、R19号からの視線に気づいた時の「誰か私を監視している者がいる」って独白もおかしい。ピーターとしての独白なんですから「僕」のはず。26話での独白では、ちゃんと「僕」になっていますよ。
加えてこの話、セルの使い方に一部難があります。ベルトがとれているシーンのなかに、ついているコマがポコポコ入ってしまっている。それがかなり目立っているんですけど。
あと、どうでもいいことですが、ハチュンにいたぶられる遊星仮面は、なんかエロいです。(私だけの印象でしょうか。)
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南十字星が闇を照らす地、ピネロン星。
軍事局へと向かうある将校の車の前に、突如遊星仮面が飛び出してくる。
「あなたは何を食べたい?」―――この唐突な問いにあきれ、答えることなく将校は銃を仮面に向けるが、逆に反撃されて崩れた建物の下敷きに。
そこにハチュンがかけつけ、落ちていたシューターを見つけて、仮面の侵入を知る。
仮面は軍事局に侵入し、別の将校にも同じ問いをするが、望む答えは得られない。やむなく、いきりたつ将校を倒してその場を去ろうとするも、他の兵士たちに気づかれ、ガスパイプの中に逃げ込む。
仮面を探していたハチュンは、ガスの流れの異常に気づき、彼がパイプの中にいることを察知。点火スイッチを押して爆発させる。
しかし仮面は寸前で脱出していた。
この騒ぎのなか、ひそかに動く一団があった。
キニスキーたちとその部下(おそらくは親衛隊有志)たちである。
彼らもピネロン星に侵入していたのだ。
すべては何日か前の、ソクラトン邸でのソクラトンとビッツの2人の会話にさかのぼる。
それによると―――戦争を終わらせる目的で、地球への亡命を希望するひとりのピネロン軍将校がいる。彼を連れ出したいが、ピネロン星から脱出させることは非常に困難。チャンスは年に1度、南十字星が輝きを増す3日間だけ。その期間だけは、厳重なピネロン星のレーダー網に1点だけ隙間ができる。ただし最終日は7時30分までで、それを越えると隙間は消える。このごく短期間に、「今お前は何を食べたい?」との問いに「7時30分」と答える将校を連れ帰ることができるだろうか。その3日間はまもなくやってくる。しかし遊星仮面以外にはまず無理ではないか―――というもの。
この話を、ピーターとキニスキー、それぞれが盗み聞きしていたのだ。
キニスキーたちはピネロン軍兵士に化け、軍事局に乗り込むが、ハチュンに見破られ、ホイヘンスとイモシのもとに引きだされる。
そこにゲーぺとホンケラーという2人の将校も現れる。2人のうちのどちらかがと察したキニスキーは、「お前は何が食べたい?」と無理やり問うが、答えは返らない。
キニスキーたちは翌日処刑と決まり、監禁される。しかし遊星仮面が現れ助けられる。
7時30分まで残りわずか。いまや将校を見つけるどころではない。平原でロケットとともに待機している残りの部下たちとともにピネロン星を脱出することが先決。
キニスキーは部下たちをはげましながら走る。そこに追っ手。まずゲーぺが追いつき、銃を向ける。
あわやというところで彼が撃ったのは、キニスキーたちではなく、自分に続いて彼らを追ってきていたホンケラー。
「また人を殺してしまった。戦争は嫌だ……。」
そうつぶやいてうなだれるゲーペこそ、「7時30分」と答える将校であった。
キニスキーたちはゲーぺとともに逃げるが、追っ手ははやい。ゲーぺがハチュンの銃で負傷し、追いつめられたところで、遊星仮面登場。
「お前はあの時死んだのではなかったのか」とのハチュンに、「私は遊星仮面なのだ、遊星仮面が死ぬわけがない!」
その間にもキニスキーの部下たちは、次々と待機していたロケットに乗り込み、ゲーぺは仮面によって運び入れられる。
しかし、その間ずっと彼らを護衛していたキニスキーは、ハチュンと相打ちに。ハチュンは死ぬものの、自らも深手を負って倒れ、ロケットの発射には間に合わない。
キニスキーを置いてピネロン星をあとにするロケット。嘆き悲しむ彼の部下たち。
平原には、とり残されたキニスキーと仮面の2人。
「君は立派に指名を果たした、君は立派な軍人だった。」
そう言う遊星仮面に対し、キニスキーは虫の息で、「お前は……いったい誰なのだ?……もしやお前は……もしや……!」
仮面は答えない。
キニスキーもそれ以上は問わず、ただ部下たちを頼むと言うのみ。
うなずいた仮面は、キニスキーに背を向け、ゆっくりとその場を走り去る。
うしろ姿を見守るキニスキー。「遊星仮面……。」
呼びかけられて仮面は一度立ち止まり、振り返る。
キニスキーは彼の勇姿を見やって、笑って静かに息絶えるのであった。
後日の地球、ソクラトン邸。キニスキーの死を静かに悼むソクラトンたちとともに、彼が3階級特進をしたことを伝えるビッツの姿があった。
自らを犠牲にして部下たちを救うキニスキー。それを嘆き悲しむ部下たちの叫びは、耳につくほど痛く悲しい。
瀕死のキニスキーと遊星仮面との言葉を越えたやりとりも、なかなか。2人の因縁を知っていれば、この深みがわかるってものです。
(その因縁を簡潔に言い表したのが、物語最後の次回37話紹介時のナレーション。秀逸です。)
ですがこの話を見ると、「キニスキーってじつは、本当は、立派な人だったのね」と、彼の今までの非道ぶりや性格の悪さが吹っ飛んでしまいがちになるんですけど……いや待て、彼は最後までやっぱり彼なのです。
天下の遊星仮面に対して「ふざけるな」とののしってみたり、何より遊星仮面の正体に気づきながらも、最後まであやまらない。最後まで自らの非を認めようとはしないのです。
演出の良さが光る佳作です。ですが私的には、死をもって……といった内容にはどこか釈然としないものがあります。
単純な軍人賛歌に結びつけられてもイヤです。あくまでも私的感想ですけど。
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ピーター / リンダ / ソクラトン / ビッツ / ニック / キニスキー(回想) / ベルタ / ホイヘンス / イモシ / パイク&マック / ロバート(回想) / マリア(回想) / アトランタ(回想)
ピーターとリンダが、アンドラ博士邸付近を歩いていると、突然中から銃声が。
邸内に飛び込むと、博士は銃殺されていた。
驚く2人を遠くから見つめるサップスのゲルムート。そうとも知らずピーターは、博士のそばに落ちていたピストルを拾う。
そして外に怪しい気配(=ゲルムートの気配)を感じ、その方向に思わずピストルを発射。そこに親衛隊が乗り込んできて、ピーターを博士殺害の容疑者として逮捕してしまう。
キニスキー亡き後親衛隊を率いていたのは、実弟のコワルスキー。兄同様ピネロン人や混血児に偏見を持ち、兄の死でさらに恨みをつのらせていたのだ。
ピーターは公開裁判で裁かれることになった。ピストルの指紋が有罪の決め手となっており、逆に無罪であるという証拠は、リンダの証言が完全に無視されていたために、何もなかった。
そんな不利な状況下で弁護に立ったソクラトンは、あえて人々の感情に訴えかける。
ピーターの生まれ育ってきた状況や、彼の身に起こった悲劇を説明し、混血児という偏見で見てはならないこと、彼はピネロン人ではなくりっぱな地球人であることを切々と説く。
しかし、コワルスキーの勢いはやまず、今度はニックが弁護に立つ。
じつは、ピネロン人拘束の命令を直接下したのは彼、ニックだったのだ。
地球人によるピネロン人への迫害を回避するための処置だったはずが、担当者があのキニスキーであったがために逆の結果をもたらし、さまざまな悲劇をもたらしてしまったというのが彼の言い分。その罪ほろぼしもあったのか、ピーターをソクラトンのもとに連れていったのも彼であった。
そんな彼は、コワルスキーの言う「ピーターは地球人を恨んでいる」という主張にも、断固反論する。
やがて、戦時下であることと被害者が地球の科学の最高権威者であるという特殊性から、さっそく判決がおりる。
無実の証拠がないため有罪。銃殺。
こうなるとビッツでさえどうすることもできない。処刑は即刻行われことになり、ピーターは刑場に送られる。
その頃、宇宙ステーションにいるイモシは、地球のゲルムートから、アンドラ博士殺害成功の報告を受けていた。ホイヘンスには内密にである。
じつはイモシはホイヘンスから、アンドラ博士を生かして連れてくることと、ロボット・アトランタの頭脳をとってくることを命じられていた。地球総攻撃を正当化できる確たる証拠―――例の謎の大爆発が、地球からの先制攻撃だったという証拠―――を得るためにである。
にもかかわらずイモシは、ホイヘンスとは全く正反対の内容の命令を、ゲルムートと、もうひとりのサップス(次回登場のヘスラー)に下していたのだ。
ピーターの処刑直前。そこに急ぎベルタが、パイクとマックを連れて駆けつけてくる。ピーター無罪の証人としてである。
2人は、アンドラ博士邸からピーターが連行される途中、ゲルムートがコワルスキーに化けて入れ替わったこと、本物のコワルスキーは庭の隅で身ぐるみはがされて倒れていたことを目撃していたのだ。
観念したゲルムートは正体を現し、捕まえようとする兵士たちをけちらし、裁判中騒ぎ続けていたリンダに銃を向ける。
そこに遊星仮面登場。ゲルムートを倒す。
事件は解決したが、謎は残った。アンドラ博士は、ピーターの父ロバートに、ピネロン星への原子核ボンベ輸送を依頼した当人。謎の大爆発に関わる人物だったのだ。
そんな人物に対する口封じのような今回の事件。ソクラトンは、戦争のはじまった理由も戦争を終わらせる鍵も、どれもあの謎の大爆発にあると気づき、当時すべてを目撃していたアトランダの頭脳の解析を行う必要があることをピーターに告げる。
37話から最終話までの3話は、切っても切れない1つの流れ。アニメ史上特筆すべき最終話に向け、きっちり盛り上がっていくよう構成されています。
特にこの37話は脚本が秀逸で、1話と同じく、回想と現実が入り混じる構成になっています。
ここで、最初の設定と違う点が2つ、出てきています。ひとつはピネロン人拘束についてのいきさつ。
1話での説明では、戦略的処置としてビッツが命令したとなっていましたが、やっぱり地球側を悪く扱いたくなかったんでしょうか、それなりの思いやりから行ったことだと、やさしげなニックの言葉を使って弁解させています。
が、この説明はマズイ。子供向け作品であるからこそなおマズイ。思いやりで隔離政策を行うなどありえない。
最初の説明のままでよかったのです。子供に間違ったことを教えてはいけません。
隔離政策が何から生じ何をもたらすかは、歴史を学んでいればわかるはず。
この作品のケースに1番近いのは、太平洋戦争中のアメリカでの日系人の強制収容でしょう。
当時アメリカは、日本人の血がまじった者たちをも含め、市民権ばかりか国籍すら得ていた者たちをも敵性外国人として財産も権利も奪い、強制収容所に収監したのです。思いやりなどどこにもありやしない!
(そんな追い詰められた状況のなかから、「遊星仮面」のモデルともいえる“日系人部隊”が出てくるのです)
そもそも、何のフォローもなく人を無理やり隔離したり分けたりすると、した方とされた方の間に不信感や敵愾心や偏見や差別、さらに進むと迫害や暴力を生み出させることにもつながる。それぐらい容易に想像できます。ですから、ニックの言い分は下手な言い逃れにしか聞こえず、すべてをキニスキーのせいにするのは完全な責任のがれにしか見えません。
それでもなおキニスキーが悪いというなら、彼を責める前に、適材適所に人を置かなかった上司のビッツを責めるのが先なのではないでしょうか。
もうひとつ、最初の設定と違う点―――それはピーターがソクラトン邸に来たいきさつです。
4話では、ソクラトンが引きとりを望むのでビッツがやむなくOKを出した となっていましたけど、この話の中では、ニックがビッツと話し合ってソクラトンに預けたということになっています。……微妙に違いますね。
他の疑問としては―――なんでリンダの証言が無効で、パイクとマイクなら有効なんでしょうか?さらにコワルスキーはいったいどうなってしまったのでしょうか?
軍服をゲルムートにはぎとられて、下着姿のまま庭に倒れていたのが最後の映像なんですが、あれって死んでいたのでしょうか?
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サップスは、ホイヘンスの命に絶対服従し、結束して行動する。しかし、その日遊星仮面が見た2人は違っていた。
ヘスラーとランゲ。2人は仲間内で戦っていた。
ランゲにとってはわけがわからないままにであった。ホイヘンスの命でアトランタの頭脳を奪いに来た彼には、イモシの命でそれを壊しに来て、さらには自分をも倒そうとするヘスラーがまるで理解できない。
なぜホイヘンスの部下であるイモシが独自の命を下すのか?―――それがなによりもわからない。
それでもなんとかヘスラーの攻撃をかわして逃走。かわって遊星仮面がヘスラーの前に立つ。
仲間割れの理由を問うも相手にされず、戦いとなるが、周りの状況が悪く、ヘスラーはいったん退却。
彼の去ったあとには指輪が残される。
なんと、ピーターの父ロバートが生前につけていた、母マリアからもらったエンゲージリングだ。
深まる謎。それを解くために、ピーターはかつての自分の家に行き、保管していたアトランタの頭脳をとりだす。
ちょうどそこにヘスラーとランゲも現れる。ピーターは2人に奪われまいとし、なんとか逃げ切る。
宇宙では、ホイヘンスが地球総攻撃を前に勢いづいていた。地球を気に入り、いつのまにか植民地化する政策に方針転換してしまっていた。
地球人を奴隷にして、「さすがピネロン軍は強い、ホイヘンスはえらい」と言わさせようというのである。
しかしイモシはあくまでも地球破壊を主張したため、ホイヘンスに叩きのめされる。
イモシはつぶやく、「今に見ていろ」と。
やがてソクラトンによって、アトランタの頭脳の分析が完了する。
復元された記録映像には、彼がロケットから脱出する直前に見た異様な情景が映っていた。
目にもとまらぬ速さで船内に入り込む影。スピードを100分の1秒に落とすと、影はヘスラー。
力尽き倒れたロバートの指から、興味本位で指輪を抜きとる姿も映っていた。
すべては戦争を引き起こすための陰謀、サップスのしわざだったのだ。
そう確信できたところで照明が消え、暗闇にランゲの声が響く。やがて照明が戻った時には、アトランタの頭脳は消えていた。
頭脳を持って逃げるランゲ。追うヘスラー。遊星仮面も現れ3つどもえの戦いに。
このどさくさのなかでランゲは倒され、頭脳を持ったヘスラーは宇宙船に乗って宇宙にまで逃げるが、とことん追いかけてきた遊星仮面のシューターによって、一撃爆破されてしまう。
映像のオリジナルは失われたが、コピーは残った。
すべての謎は解けた。
しかし、ホイヘンスとイモシの関係が新たな謎として、地球側に残されることになる。
絵がとてもいい。
「サスケ」(白土三平氏作)の大猿(=サスケの父)にそっくりだが性根の卑しいヘスラーと、水玉模様のやたら趣味の悪い服を着て顔は不気味なものの、忠実で生真面なランゲ。彼らと遊星仮面との3つどもえの戦闘シーンは、さすがに最終話近くだけあって、シリーズ中1番の迫力。
シリーズ中最も大人びていて、背の高い遊星仮面も、なかなかカッコいいです。
物語の重要な鍵としてエンゲージリングを使ったのは、とても効果的です。今新たに話をつくり直すなら、これは利用できますね。
さらに―――作品中に、ピーターがロバートは生きているのではという疑惑を持って、それをあっさりソクラトンに否定されてしまうシーンがあるんですけど、そのとおりじつは生きていたということにすれば、今なら結構おもしろい話になるかもしれません。
おかしな点もあります。アトランタの頭脳に映っていたヘスラーの映像。あの動きは完全にサイボーグです。人間わざじゃありません。
そんなヘスラーより、強化服をつけないピーターの方が足が速いんですよ。おかしいって!
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注1 放映当時の新聞上では、タイトルは「エピローグ・陽は今日も赤い」(管理人調べ)
注2 37話から39話までは連続的内容(37~39話で“最終回”)
月基地を占領し、ホイヘンス率いるピネロンの大円盤隊は地球へと迫る。
一部はすでに地球に到着し、各地を空爆。ピーターは母マリアの身を案じ、各地の収容所をめぐるが見つけられない。
残るは“ボラの収容所”と呼ばれるところだが、どこにあるのかすらわからずにいた。
そんななか、ホイヘンスの円盤が“バッカスの草原”に降り立つ。
ソクラトンはビッツのもとに向かい、邸に残されたリンダとベルタは、帰らぬピーターの身を案じていた。
ボラの収容所に向かったのでは とベルタは感づくが、彼女にもそれがどこにあるのかわからない。
ちょうどその頃ピーターは、偶然そこから脱走してきたピネロン人捕虜と出会い、彼がたどってきたと思われるマンホールの中を進んでいた。
やがてベルタは、収容所の場所を突き止める。なんと、バッカスの草原の下だ。
地下施設となっているその収容所には、(おそらくは地球に住む大部分の)ピネロン人たちが集められていた。
忍び込んだピーターは、通路を歩きながら、ガラス越しの部屋を見回す。
マリアはすぐに見つかるが、彼女は同室のジュリアという女性と話し込んでいて、ガラス越しに絶叫するピーターに気づかない。
そんななか、突然天井が落ちてくるほどの大きな衝撃が。
地上では、ホイヘンスの円盤を地球軍の戦車部隊がとり囲んでいた。
ビッツとニック、ソクラトンらが、先制攻撃をかけずに事態を静観していた。攻撃をかけるやホイヘンスの命がおり、全ピネロン部隊が総攻撃をかけてくることがわかっていたからだ。
そんな地球側のジレンマを知ってか、ホイヘンスは力を誇示するようにロケットを2発発射したのだが、その気まぐれな行為が同胞を危機にさらしたことは知る由もない。
地上での異様な事態に気づいたピーターはやむなくその場を離れ、彼のうしろ姿に気づいたマリアは、ジュリアを残し部屋を飛び出す。
ビッツやソクラトンたちのもとには、ベルタとリンダが駆けつける。地下にピーターがいることを察し、攻撃を控えてくれるよう頼むためだ。
時同じくして、ビッツを呼び出すホイヘンスからの通信映像が届く。
戦争を引き起こした報いだとして降伏を迫るが、これにはビッツは激怒。ソクラトンは、アトランタの頭脳からコピーした映像を見せ、戦争を引き起こしたのはそちらではないかと逆にホイヘンスを責める。
するとホイヘンスは、すぐ横にいたイモシに突っかかり、地球側は予想外の反応に驚く。
ホイヘンスからの通信はここで切られる。
ホイヘンスは信じていたのだ、戦争を引き起こしたのは地球側だと。本当に何も知らなかったのだ、イモシの陰謀を。
「同じピネロン人が何百万人も爆発で死んでしまうのを平気で見ていられたのか!」
ホイヘンスの叫びにイモシは、同胞を犠牲にしても自らが宇宙の支配者になるつもりだったと吐露する。地球を破壊し、そのどさくさにまぎれてホイヘンスをひそかに殺そうとしていたことも。
ホイヘンスは激怒しイモシを倒そうとするが、多勢に無勢。円盤内のサップスたちはみなイモシの意の者たちだったのだ。
追いつめられるホイヘンス。遊星仮面が現れ援護するものの、イモシに撃たれて重傷を負ってしまう。
「わしは戦争に勝った。見ろ、ここは地球だ。地球にわが軍はやってきたのだ。わしは勝ったのだ。しかし……しかしわしは、わしは……部下に裏切られた……。」
絶望にありながらも誇り高いホイヘンスは、遊星仮面からの救いの手をふり切り、あるレバーに手をかける。
あわてるイモシ。危険を察知し、瞬時にその場を離れる遊星仮面。
ホイヘンスが笑いながらそのレバーを引き上げると、円盤の原子炉が大爆発。その衝撃はすさまじく、地下の収容所までをも破壊してしまう。
すべてが終わり、あたりは静寂。
やがて、ずっと事態を見守っていたビッツ、ニック、ソクラトン、ベルタ、リンダたちの前に、突然遊星仮面がトランクを持って現れる。
そして彼らの前で衣装を脱いでいく。
現れたのはピーター。驚く人々を尻目に、彼は母のいた収容所の無産な残骸を見て、絶望の涙を流す。
しかし、そこにマリアが現れる。彼女は息子の姿を追い求めていくうちに、いつのまにか収容所を抜け出していたのだ。
喜び抱き合う2人。そんな彼らに明るい朝日の光が注がれる。
数日後、宇宙にピネロン星へと向かう地球のロケットがあった。
搭乗しているのは、地球軍の正規服を着たパイクとマック。
そして、彼らを部下とするパイロットのピーター。
彼は、地球とピネロン星との和平後最初の交流使節として、ピネロンの地へと向かっていた。
両星の交流を最初に切り開いた、かつての自分の父と同じように。
完
まとまりある最終話。ここには父から息子へと引き継がれたものがあります。宇宙にいたものが改心して、また宇宙に帰る話でもあります(←パイクとマックのことです。)。悪は結局、内部から崩壊するものだということを示してもいます。地球軍の正規服を着たピーターはかっこいいです。なにより母子の再会が感動的です。
ですが、突っ込みどころは猛烈にあります。
まず第1に―――ピーターは果たして、ピネロン星で歓迎されるのでしょうか?死んだ兵士たちの遺族からすれば、単なる殺戮者かもしれないのに。
第2に―――ボラの収容所にいたピネロン人たちは、マリア以外は絶望的。地球に住むピネロン人のほとんどがここに集められていたとすれば、ピネロン星へ帰ることを切望していたジュリアはもちろん、2話で出てきた女性たちも、16話の老人も、20話の少年の母親も、みんな死んでしまったことになります。
すさまじい大悲劇が起こってしまったのです。
たった1組の母子の再会に涙している場合じゃない。いくら戦争がむこの市民を犠牲にするといっても、こんな結末はむごすぎる。ピネロン星にいる人たちが納得できるとは思えません。
いくら同胞を殺したのはホイヘンスだと言ってみても、信じない人が多数出てくるはずです。
というか、そもそもここまで殺し合いをしてしまっていては、ふつうならすぐには信じ合えない。
第3に―――爆発したのは原子炉です。ピーターやマリアを含めあの場にいた人たちに、放射能の影響はないのでしょうか。
第4に―――もしかしたらピーターはホイヘンスを止められなかった(その場から逃げた)ことを、マリアはジュリアを置いてきたことを、それぞれ一生悔いることになるかもしれません。
というか、ふつうの感覚ならそうなるはずです。本来彼らにとっても、これからがいばらの道なのです。
必ずしも明るい未来がくるとは限らないことは、不気味な音楽とともに漆黒の宇宙へとピーターのロケットが消えていって物語が幕を下ろすところに象徴されている、との第三者からの意見もあります。
最後に―――結局、遊星仮面の詳細がわからないまま。誰がこんな、ピネロン星の科学力をも上回るコスチュームをつくって、シューターをつくってライダーをつくったのか?これらが最後まで何もわからない。
具体的には、すべての発端であるロバートの正体がわからないままなのです。―――いいんですか、これで?
まあ、いろんな意味で、アニメ史上特筆すべき最終回であります。
<解説追加(2023年)>
私が、各話のあらすじと解説 の大半を書いたのは2007年。
その頃にも現実世界では絶え間なく紛争・戦争が起き、今も起き続けていますが……特に2022年にはロシアによるウクライナ侵略が、2023年にはイスラエルによる大規模なガザ地区攻撃が。
かつてないほどの民間人の犠牲を見、この作品の最終話の解釈にも変化が。
2007年時にはとらえきれていなかった部分があることに気づきました。
それは、ピネロン人の民間人捕虜をめぐる地球側の本当の意図。
彼らを一か所に集めたのは、「人間の盾」にするため、少なくとも「するつもり」だったのではないかと。
彼らの安全を考えてなどとビッツはつぶやいていますが、37話でのニックの発言と同じく、それは本音ではないと。
あきらかに冷徹な戦争戦略。そうみた方が自然ですし、なにより最も現実的で有効な手段です、非常に残酷ながらも。
少なくとも作り手はそうみていたのではないかと。しかし本音を表現することは、さすがに当時はできなかったのではないかと。
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【皆様からの作品批評 最終回についての考察】ページもご参照ください。
外部サイトにあたるふぁぼろぐ内で、2014年9月23日付で載せている「遊星仮面について」もご覧ください。この話についての分析が鋭いです。こちらから。