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【X(旧ツイッター)上での解説集(1)】ページと【X(旧ツイッター)上での解説集(2)】ページにも、各話についての解説や感想があります。
また、各話のメインスタッフについてはこちらをご覧ください。
宇宙で1台の大型ロケットが大爆発。地球では、自宅で平和な日常を送っていたピーターとその母マリアのもとに、突如地球軍兵士たちが乱入し、マリアを「ピネロン人だから」という理由だけで逮捕してしまう。
車で連れ去られる母を追いかけようとするピーターを止めたのは、家族の一員でもあったロボットのアトランタ。瀕死の状態で地球に戻ってきた彼は、ピーターに一連の事態の説明を行う。
地球とピネロン星。太陽をはさんでほぼ平行した軌道を動くこの2つの惑星には、ほぼ同じような人類が住んでいた。
地球が宇宙ステーションを建設しはじめた頃から交流がはじまり、16年前には、地球人宇宙パイロットのロバートとアトランタがはじめてピネロン星に降り立った。
やがてロバートはピネロン人の女性マリアと結婚。地球に居を構えた2人の間には、初の星間混血児ピーターが生まれる。
その後、地球へのピネロン人の移住は進み、結婚も混血児も珍しいものではなくなっていく。平和な15年が過ぎていった。
しかし、事件は起こった。ロバートとアトランタが、平和利用のための工業用原子核ボンベをピネロン星へ輸送中、同星のトロント市上空で突然核分裂が起こり、ロバートの尽力むなしくロケットは大爆発。2百万もの市民の命を奪ってしまったのだ。
ピネロン星に渦巻く怒りと悲しみ、そして恐怖。そうした人々の感情を最大限に利用したのが軍人ホイヘンス。
彼は、地球からの先制攻撃だと決めつけ、報復を叫ぶことによって人心を掌握し、イモシの協力のもと慎重派や異論派を排除し、総統となって自らの独裁政権をひく。そして地球への宣戦布告にふみきり、各宇宙ステーションへの一斉攻撃を開始する。
驚いた地球側は、防衛隊本部のビッツ司令官のもとに結集し、地球に住むピネロン人たちを捕虜として次々拘束していく。
その役を引き受けたのが、ビッツ直属の親衛隊を率いるキニスキーで、マリアを捕らえたのも彼であった。
以上の事態を説明したアトランタは、ロバートから託されたという謎のトランクをピーターに渡し、死ぬ(壊れる)。
悲しみのなかピーターは、父の意思を受け継ぎ、戦争をやめさせて母を救出しようと強く心に誓うのだ。
その頃、開戦のショックは、まだ戦火の及んでいない地球上にも広がっていた。
パニックに陥った群集は説明を求め防衛隊本部に押しかけ、追いかえそうとキニスキーが銃で威嚇するも、逆効果。ますます詰め寄ってくる群集にイラだったキニスキーは、部下たちに命令する。「やぬをえん、撃て!」
その時―――
何か(=シューター)が飛んできて、銃ははじき落とされた。
キニスキーは叫ぶ―――「何者だ!」
稲妻の中に現れた謎の人物を見て、群集は叫ぶ―――「遊星仮面だ!」
技術的な稚拙さはあるにせよ、今のレベルからみても名品でしょう。
脚本がいいのです。構成が凝っていますし、戦争を生み出す政治的背景や群集心理、人種差別や迫害の根といったものが、子供向けとは思えないほどリアルに表現され、作品世界の大枠を見事に凝縮させています。
その分ヒーロー色は除かれ、肝心の遊星仮面は最後の最後に顔見世といった程度ですけど、これがかえって効果的なものになっています。
キャラではキニスキーに注目。遊星仮面の敵がホイヘンスとイモシなら、ピーターの直接的な敵は彼だということを真っ先に示しています。そのうえ、“軍は民衆を守らない”というこの作品の隠れたテーマをも、彼は身をもって体現してくれているのです。
楽しいところでは、ピーターの成長記録。ロバートとアトランタの子煩悩ぶりはとってもカワイイ。のちに遊星仮面としてシューターを投げまくるピーターが、幼くしてすでに投げの天才であったこともわかるのです。
―――――
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地球では、キニスキー率いる親衛隊による情け容赦のないピネロン人狩りが続いていた。ピネロン人は、見かけは地球人と同じでも、両方のこめかみにピネロンマークがついているため、容易に判別されてしまうのだ。
ただし、同じようにピネロンマークがついていても混血児は対象外。そのため、乳飲み子までもがピネロン人の親から引き離される、別の悲劇が生み出されることに。
ピーターもそうした被害者のひとりであったが、幸いにもロバートの恩師であるソクラトンのもとに預けられる。
ソクラトンの孫娘のリンダがなぐさめるも、彼の悲しみは癒えない。
宇宙では、地球の宇宙ステーションに対するピネロン軍のし烈な攻撃が続いていた。逃げ場を失った人々の間では、少ない脱出手段をめぐって、醜い争いすら起こりうる事態に。ピネロン兵に攻め入られると、殺されるか、捕虜になるしかないからだ。
そんななか、しがないステーション要員だったパイクとマックは、持ち前のずる賢しこさで、殺されずになんとか捕虜におさまることに成功する。
戦況はピネロン側に有利であった。余裕のもとでホイヘンスは、国内での自らの人気を高め反対勢力を押さえるための人道的パフォーマンスとしての捕虜交換を、イモシからの提案どおり地球側に申し出る。
場所は、地球とピネロン星とのちょうど中間地点にあるトーカサス星。ピネロンの円盤隊と地球のロケット部隊双方が乗り入れ、捕虜を入れたカプセルワゴンを交換するというもの。
ビッツはこの申し出を受け入れるが、何かたくらみがあってではとの憶測は絶えなかった。
実際これは陰謀であった。
円盤隊を率いてトーカサス星に到着したピネロン側のハチュンは、パイクやマックたち捕虜を乗せたカプセルワゴンにひそかに時限爆弾をしかける。地球側がそれを引き入れると爆発するしかけで、同時に、ひそかに隊に混じって潜入していたイモシが電子砲を発射させ、地球のロケット部隊を全滅させようという手筈であった。
そうとは知らず、キニスキー率いる地球側が到着する。
交換されたカプセルワゴンが地球側に向かったのを見て、イモシは電子砲のスイッチを押そうとする。が、そこに遊星仮面登場。電子砲を破壊し、爆弾をカプセルからとり除き、ピネロン側の陰謀をことごとく打ち破るのであった。
1話が作品世界の大枠なら、この2話では、スーパーヒーローモノとしての具体色を全開させています。特に物語最後の遊星仮面賛歌のナレーションに至っては、気恥ずかしくなるほど。
レギュラー陣もほぼ全員が出そろいます。リンダはこの話でのみソクラトンを「お父さん」と呼ぶのですが、おそらくは脚本ミスでしょう。
この話の見どころは、なんといって冒頭。地球在住ピネロン人女性たちへの激しい迫害シーン。
ピネロンマークをどんなに髪で隠しても、キニスキーは見破る。相手がどんなに命乞いをしても許さない。混血児の赤子を抱いた女性は、わが子と無理やり引き離される。混血児は対象外という上の命令(31話でニックの命令だったと判明)により、子供は孤児院へ送られることに。
泣きわめく赤子の声。「私たちが何をしたというんです!」 母親は嘆き訴える。
それに対するキニスキーの答えはマリアの時と同じように、「ピネロン人だから」。
この悲劇の母子の登場は、これ以後ありません。戦後無事に会えたかどうかもわからない。
それどころか、最終話を見る限りでは、永遠の別れになった可能性の方が大きいのです。嗚呼……。
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地球より30年は科学が進んでいるというピネロン側からの攻撃に、地球側はなすすべもない。ピネロン星周辺の宇宙ステーションはほとんど破壊され、残るは第17宇宙ステーションのみ。
ピネロン側の動向を監視できる位置に残されたこの最後の砦を、援軍が来るまでの間死守せよというのが、ビッツがシリカス艇長に下した命令であった。対するホイヘンスは、中枢基地にするため破壊せずに占領せよとの命令を下し、ハチュン率いる円盤隊を出動させる。
ハチュンたちは命令どおりステーション内に乗り込むが、シリカスたちの抵抗は予想外に強く、いったん退却となる。
事態を打開するため、ハチュンは計略を企て、ある通告をシリカスたちに伝える。
それは、3時間以内にステーションを明け渡せば命だけは助ける、でなければステーションごと爆破してしまう というもの。
もちろんウソで、命を助けるつもりなどさらさらない。それでも、この通告を聞いたステーション内の兵士たちの間では動揺が広がる。
しかし、地球を守らねばとのシリカスの強い決意が、やがて全員の意思となり彼らを結束させる。
その頃地球では、シリカスの妻が息子のメルを連れ、防衛隊本部に乗り込んでいた。
「夫を返してください」とビッツに直訴するが、拒否される。嘆く母子。その様子を見ていたピーターの目が光る。
通告を無視されたことで、ピネロン側はステーションに再度突入。今度こそシリカスたちを追い詰める。
が、そこに遊星仮面登場。ピネロン側はシューターで叩きのめされ、戦局は一転。不利を悟るや円盤に逃げ込み逃走するも、ライダーに乗った遊星仮面に追撃され、シューターで次々撃墜させられてしまう。
結果多くの死傷者を出しながらも、ステーションは守りぬかれたのであった。
仲間の死に遭遇した悲しみとショック、自らの死への恐怖、家族がいるからこそ死ねないという思い。そんなおびえる部下たちを奮い立たせたのが、悲痛なまでのシリカスの言葉。
「君たちは自分の母親が殺されるのを黙って見ていられるか!ここをピネロンが占領したら、わが母なる地球は滅亡の道をたどることになるのだ!」
おそらくビッツも苦悩していたはずです。みんなが悩み苦しむ重い話。
戦闘シーンも重い。絵は稚拙でも内容はリアルです。なかでも、銃の弾が切れた地球兵が、直接ピネロン兵に飛びかかり、とっ組み合いになるシーン。
2人の様子を見やっていたハチュンが、ここぞとばかりに上から思い切り銃を振りおろす(地球兵を撲殺する)ところなどは、思わず目を背けたくなるほど。
戦争の残酷さ、悲惨さを示した傑作……になるはずなのに。
なのに、遊星仮面の登場で台なし!
どうして逃げる一般兵士たちを、わざわざ追いかけていって殺すの?
一般兵士を殺傷するのは、今の目から見ると、かなり問題のある表現です。ホイヘンスやイモシ、ハチュンら軍の将校クラス、サップスたちに対しては許されても、命令に従うだけの一般人に対しヒーローが暴力をふるう表現は、何らかの理由なしには今では到底認められません。
さらにもっと良くないのは、手を血に染めることへのヒーローの苦悩がほとんど表現されていないこと。
こうした点は他の話にも少なからず見られ、「遊星仮面」という作品を今の時代に紹介する上での最大の足かせになっていると、私は思っています。
なかでも3話の表現には、特に問題が。殺傷のさい、笑みを浮かべてすらいますから。
3話はさらに、絵にも問題があります。前作の「遊星少年パピイ」の影響が濃く、シリーズ中でもっとも「遊星仮面」らしからぬ絵なのです。……つくづく残念!
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ピネロンのスッポ軍事長がつくった、宇宙間ミサイル・サタンM号。ピネロン星から地球まで一気に届く強力な推進力と、惑星をも叩き潰す威力を持った強力武器。レーダーをかいくぐり、自身のアンテナから目的地に向け放たれた電波に乗って飛んでいく。欠点は、アンテナがとれると方向性を失うこと。
この恐ろしいミサイルが100発も放たれるとの情報は、地球側にも伝わっていた。地球を守れと息あがる防衛軍。
そんななか、ピンハート中尉だけはひとりちぢこまっていた。たまたまロケット隊長になっただけの小心者で、日頃からビッツはもとより部下たちからもバカにされていた。
しかし母親からの激励の手紙が、いきなり彼を奮い立たせることに。
M号がいつ発射されるかわからない事態を前に、ビッツはソクラトンに助言を請うべくソクラトン邸に向かう。そこで初めてピーターと顔を合わせるが、互いに悪印象しか持てない。
そんな時、ピンハートが命令を無視し、部下を引き連れ宇宙に飛び出したという情報が飛び込んでくる。
息巻くピンハート部隊。しかしハチュン率いるピネロン円盤隊の敵ではなく、遊星仮面が救援に当たる。
一方でM号は発射され、月基地からのアンチミサイルをことごとくかわして地球へと向かい、人々をパニックに陥れる。
そこにまたも現れた遊星仮面。M号のアンテナを次々破壊し、方向性を失わせて地球から遠ざけ、危機を回避させるのであった。
さまざまな見方ができる作品です。
3話同様、地球を守るために奮闘する人間たちを描きたかったのだとすれば、役者が悪すぎます。
「自信と目的を持てば何でもできる」と意気込まれても、計画性のかけらもない無謀極まりない行動に出て、次々と部下たちをムダ死にさせてては、愚行以外のなにものでもありません。
地球を守るためというより、自分の母親にほめられたくてやったぐらいにしか思えません。
そんなマザコン野郎に自分の命令を無視されておいて、「あいつも軍人だったんだな」と感心してしまうビッツもビッツですけど。
あるいは、ものすごーく深読みをすれば、戦争という熱風が人々をそうさせた、これこそ戦争の残酷さなんだ という見方ができるかも……しれません。
「自信と目的を持って」も、戦争という現実の中では、結果は残酷。ピンハートの部下の大多数は、「何でもできる」ことなく、何の成果も残せずに散っていくのですから。ピンハートを鼓舞する母親の存在も、“女も戦争に加担している”ことの象徴だと、言えなくもありません。
あるいは、そもそも最初から、はげまされ奮起した者が最終的には叩きのめされる救いようのない結末を通して、無能な指揮官がもたらす戦場の悲劇を描くのが目的だったのかもしれません。第三者からはそのような指摘もなされています。
もしそうなら、前述にあるようなビッツの不可解な反応さえなければ、この作品はより傑作となっていたかもしれません。
他、この話での注目点は、ピーターとビッツのファーストコンタクトです。
「僕のママをどこかに閉じ込めた張本人だな」とピーターが眉をひそめると、ビッツはビッツで、「私は(ソクラトン)先生が預かるとおっしゃいましたので許したのですが、十分保護観察してください、ピネロンの血が混じっていますからな」とくるのです。最悪!
リンダを通して語られる、ソクラトンの「(ピネロン人を拘束したのは)地球を守るための必要な手段」という言葉もひっかかります。
ソクラトン、あんたのどこが人権派なのよ!
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地球側が防衛体制をかためつつあるなか、宇宙間弾道ミサイルの製造が追いつかないことに業をにやしたピネロン側は、月を占領し、そこから通常のロケット攻撃を行う作戦へと変更する。
その頃地球では、防空壕建設という名目で、強制的な区画整理が行われていた。
ソクラトン邸の花壇も無残にもつぶされるが、唯一鉢植えの花だけがジョージという少年によって救われる。
父親が好きなその花をどうしても守りたかったのだという。
彼の父親は、月基地の小隊長であった。
その月は、ピネロン側の執拗な攻撃にさらされていた。
防衛隊本部は、月基地の防衛態勢をより強固にするため、ムーンガード砲という武器の設置を決定。ただし、発射装置に必要な物質が、エメラルドからわずかにしか抽出されない特殊なものであるために、民間からのエメラルドの供出を強化することに。
そうしたエメラルドを狙ってパイクとマイクが暗躍するが、あえなく失敗。
ジョージは父親を励ますため、花を月に届けようと、鉢植えを持ってリンダとともに防衛隊本部にまで出向く。
しかし、とりあってもらえなかったばかりか、はずみで鉢植えを落とし、壊してしまう。
残された花を持って、2人が落胆して戻ってきたところで、月基地危機のニュースが。ムーンガード砲は間に合わなかったのだ。
ピーターは、動揺する2人から花をとって、その場をあとにする。
占領されつつある月。そこに現れた遊星仮面。
彼はピネロン軍をけちらすものの、ジョージの父親までは救えなかった。
励ましのはずの花はたむけの花となって、静かに月面にささげられる。
残されたジョージ。悲しみにくれる彼を、ピーターは静かにはげます。
「君のパパは戦死したんじゃない、あの月の上で永遠に生きてるんだ……君を見守っていてくれる……だからパパに負けないような立派な強い大人になるんだ!」
花はバラと思われます。29話でバラの花が平和のシンボルとして描かれていますが、おそらくこの話も同系統でしょう
一般市民の日常が制限される戦時下でのありさまが、さりげなく描かれている点は評価。肉親を奪われたことから生じるはずの憎しみや報復感情を、生きるあり方へと転化させていることも、高く評価できます
全体としてはいい話なんですけど、ピネロン側への視点がないのは残念。
同じ人間なのに、同じように家族がいるのに、片方が無視されていいはずがない。―――これも、今の目から見た「遊星仮面」という作品の限界のひとつですね。惜しい!
でもこの話、絵はキレイです。私的感想として、ここではじめて「遊星仮面」らしい絵が登場したと思っています。
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月をあきらめきれないピネロン側。今度は地球の病院宇宙船を拿捕し、傷病兵たちを人質に月基地明け渡しを迫る。
宇宙法を無視した卑劣なやり方に激怒するビッツ。それでも対応の決定は、自らの独断ではなく、客観的な国連会議の場へとまわす。
意見は伯仲する。あくまでも人命優先というソクラトン的意見と、たがか数十人の命と引き換えに地球を危機に陥れるは論外とするビッツ的意見とに。
そんな時、遊星仮面の声が高らかに響く。私が何とかするから傷病兵たちを助けろと。
これで月基地明け渡しが決定。
ピネロン軍は、地球軍がすべて退却した月に、着々と基地をつくっていく。
「遊星仮面はいつになったら現れるんだ!」
そう言ってイラだつビッツの前に現れたのは、遊星仮面に化けたパイクとマック。
解決のためにと法外な金を要求するも、正体はバレバレ。
結局、本物の遊星仮面が約束どおり月に現れ、ピネロン軍をけちらすのであった。
3話同様、極限での選択の残酷さを表したかったのかもしれませんが、遊星仮面ブランドの前にすべてがひれ伏してしまっては、イマイチ説得力がありません。
それに、こういう場合での選択には、必ず前線の兵士たちの士気にどう影響するかも重要な論点になるはずなのに、その点がスッポリ抜け落ちてしまっているのは、いかがなものでしょう。
さらに、自分が口にしてしまった壮大な言葉に、ピーターがプレッシャーで苦しむ様子が表現されていないのも、今の目から見るとかなり違和感を感じます。
やっぱりこの話で一番リアルなのは、パイクとマイク。あの手の金もうけは、浅はかすぎるものの、一番ありえるなと思わせるものですからね。
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【皆様からの作品批評 第1クール(1話~13話)について】ページより、こちらもご参照ください。
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ピネロン星から、スッポ軍事長官のつくったV爆弾なるものが太陽にぶち込まれた。
すると地球上でデリンジャー現象が発生。電波で動くものすべて―――TVもラジオも車も飛行機も時計も―――動かなくなるか狂ってしまう。
当然レーダーも利かなくなり、地球は無防備状態に。
ソクラトンは、このすきにピネロン側が、ミサイルを引き寄せるなんらかの誘導装置を送り込んでくると読む。
そのとおり、金色に光る大きな球体状の電波発信器が地球に送り込まれた。
太平洋上にそれが落ちるのを見た船員の話から、宝物だと勝手に判断したパイクとマックは、潜水艦に乗って海中探索に向かう。
やがて、ピネロンの軍人スピンと、カンガルーロボット3体が海底で守っている発信機を発見。
2人は発信機を盗んで陸に上がり、ソクラトン邸内まで逃走したところで、追いかけてきたスピンたちにとり返される。
そのさい邸内の電波が大きく乱れたことで、球体が発信器であるとピーターは感づく。
再び海底に戻ったスピンたちのもとに現れたのは遊星仮面。発信器をとり合っているうちに、誘導されたミサイル群が地球へと接近。
あわやというところで遊星仮面はスピンたちを倒し、発信器を持って宇宙へ。
襲いくるミサイルの1つにそれをくっつけて、方向転換。すべてのミサイルを宇宙のかなたへと向かわせるのであった。
スピン&ロボットたちと遊星仮面との発信器をめぐっての争いは、まさに運動会。走るわ、飛ぶわ、転がすわ。
パイク&マックとスピンたちの、ソクラトン邸へのいっせい乱入シーンでは、鉢植えを壊されたリンダが激怒。彼らに水をぶっかけようとして、間違ってピーターに水ごとバケツをかぶせてしまいます。その鉢植えを今度はピーターに壊され、リンダがブツブツ小言を言っているところで物語が終わるのです。
他にも、パイクとマックの潜水艦は骨董品だし、スピンは容姿も声も妖怪っぽいし、顔がおもしろいカンガルーロボットたちはクチャクチャうるさいし……この話は全編ギャクですね。
矛盾点も突出しています。ピネロン人や怪しいロボットたちが昼間街中を駆けていたら、ぜったい誰かが気づくはずなのに、完全スルーだなんて。
リンダもリンダで、いくら鉢植えを壊されたことに激怒していたとはいえ、怪しい彼らに何の反応も示さないだなんて。
それにパイクとマックも、逃げてる間ずっと捕まらなかったってことは、2人はロボットよりも足が速いのでしょうか?そんなバカな!
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皆様からの作品批評 第1クール(1話~13話)について】ページより、こちらもご参照ください。
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遊星仮面の妨害で戦果があがらないことにイラだつホイヘンスは、本格的な遊星仮面打倒に戦略転換。宇宙忍者SAPS(サップス)から刺客を選ぶため、団長のゲルゴンを呼び出す。
ゲルゴンが選んだのは、レーザー銃にもなる特殊なステッキを駆使する1号、その名もステッキィー。
V爆弾で地球をデリンジャー現象に陥らせたすきに、地球にもぐり込ませる。
その地球には、遊星仮面の正体に関する情報を持ってピネロン星に亡命しようともくろむパイクとマックがいた。
彼らは、ライダーがソクラトン邸付近に戻るシーンを映像に捕らえていた。このことからピーターがあやしいとにらみ、服屋に化けてソクラトン邸に入り込むが、特に何の収穫もない。
そんな時ステッキィーと出会う。
ステッキィーは、自分と同じく遊星仮面を探す彼らを連れて、原子力発電所へと向かう。騒ぎを起こせば遊星仮面が現れるとにらんだのだ。
そのとおり遊星仮面は、発電所が破壊され、あわや爆発寸前というところで現れる。
しかしステッキィーは強敵。さすがの仮面も追いつめられるが、原子炉の火を相手に浴びせてなんとか難を逃れる。
ステッキィーはいったん退却し、遊星仮面の正体をビデオカメラにおさめようとしていたパイクとマックのもくろみも、カメラの操作ミスのため失敗する。
1つの節目の作品です。明確な敵(=サップス)の出現により、これ以降話はぐっとひきしまります。
パイクとマイクの暗躍もこの話以降、単なる金儲け以外に、遊星仮面の正体探しという目的が入ってくることになります。
それにしても、原子炉の火はないでしょ!原子炉の火は!
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【皆様からの作品批評 第1クール(1話~13話)について】ページより、こちらもご参照ください。
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サップスとしての訓練を受けてきたステッキィー。上司ゲルコンの命により、遊星仮面を引き寄せるために各地でテロを繰り返す。
そんななか、彼の正体も知らずにきさくに話かけるひとりの純真な少年がいた。
宇宙ステーションで戦死して「お星さまになった」父親への思いを語る少年。
彼が自分から家に帰るまで、なぜかステッキィーは追い払うことができなかった。
その後もステッキィーは、何事もなかったかのように任務を着々と遂行。軍需列車の破壊をもくろみ、アンデルパンダン峡谷にかかった橋脚に爆弾をしかける。
しかし、その軍需列車のうしろにつけられていたのは、まったく別目的の列車であった。
大勢の子供たちを乗せたピクニック列車。リンダもその中にいた。
列車の接続を命じたのはキニスキー。「今は戦争中、何をおいても軍の命令が第一」として強行したのだ。
ピーターは、異様な状況に憂慮しつつ、ソクラトンとともにリンダを見送る。直後、ステッキィーから直接もくろみを聞いていたパイクとマックの会話を、偶然耳にする。
子供たちが列車の旅を楽しんでいるちょうどその頃、軍需列車の先頭にステッキィーが侵入。
遊星仮面がかけつけた時には、すでに運転手たちはほおりだされ、ブレーキは壊されたあとだった。
「ステッキィー、この列車には子供たちが乗っているんだ!子供だった時のことを思い出せ!子供たちは戦争には関係ない!」
遊星仮面は必死で説得する。「何も知らない小さな女の子や坊やたちを谷底に落としてしまうのは、人間のやることではない!」
「坊や……?」―――ここでステッキィーは反応する。
自分を慕ってくれた少年のことを思い出したのだ。最後まで彼に優しく応えてあげることができなかったことも。
「坊や……(許してくれ)。」
急にとりつかれたように列車の外に飛び出すステッキィー。軍需列車とピクニック列車との連結部分をステッキで叩き切る。
切り離されたピクニック列車は遊星仮面により無事停止。しかしステッキィーは、壊れた金属が足にからみつき、さらにステッキを失い、暴走する軍需列車から逃げ切れない。そのままアンデルパンダン峡谷での爆発に巻き込まれてしまう。
爆発がおさまると、そこには壊れた橋脚にしがみついた瀕死のステッキィーの姿が。
遊星仮面が手をさしのべるも彼はそれを拒否。やがて力尽き、深い深い谷の中に落ちていくのであった。
子供たちを危機に陥れたのは誰か?ステッキィーでもあるし、キニスキーでもある。
キニスキーの行為ににじみでているのは、“戦時下において軍は民衆を守らない”ということ。かつての日本人が、まさに戦時中に身にしみて感じたことです。
ですが、こんな2人を「悪」とはいいきれない。キニスキーは自分のしたことを、あくまで地球のための「善」なる行為だと思い込んでいることでしょう。ステッキィーに至っては、偏見も金儲けの意図もなくただ任務を忠実に遂行しているにすぎず、ピネロン側からすれば純粋に国を守る「善」行者なのです。
戦争においては、「善」も裏返せば「悪」。そんななかで、あえてたしかな「悪」を示すなら、それはまさに戦争そのものであり、逆にたしかな「善」を示すなら、子供を戦争に巻き込ませてはいけない、子供だけでも守らなくてはいけないことではないか。それはまさに人間として、欠いてはならない良心なのではないか。―――これこそ「遊星仮面」という作品の最大のメッセージではないかと、私は思っています。
そして、非情なテロリストでありながらも血の通った人間でもあったステッキィーは、葛藤の末、最後に「善」なることを体現したのです。
シリーズ屈指の傑作のひとつです。
話のまとまり、メッセージ性はもとより、悪役とされるキャラの人間性にこれほど重要な焦点があたった作品は、シリーズ中この話をおいてありません。
さらに、遊星仮面とステッキィーの直接対決から続く演出には、今見ても目を見はるものがあります。
必死でステッキィーを説得する遊星仮面。それに心動かされ、思いがけない行動をとってしまうステッキィー。
結果命の危機に瀕する彼を助けようと、遊星仮面は手をさしのべます。ですが、どういう生い立ちでどういう子供時代を過ごし、どういう人生を送ってきたのでしょうか、ステッキィーはその情けを拒否するのです。
彼にとって、はじめて人から与えられた優しさだったのかもしれません。さらに、自分のなかではじめて湧き上がるさまざまな感情にも戸惑ったのでしょう。強がりを吐くことしかすべを知らなかったのかもしれません。
そうやって谷底に消えたピュアな魂の残骸を、しばらくの間遊星仮面はじっと無言で見つめ続けます。
このあたりの2人の人間の心のひだをあらわす演出は見事で、絵の稚拙さを覆い隠すほど感動的です。
さらにこの話のすぐれた点は、ピーターの内面が初めて垣間見えること。母への思慕、混血児としての苦悩、強敵との戦いを前にゆらぐ自信などが、チラリとではありますが描かれているのです。
ピアノをひくシーンもありますよ。
ただ矛盾点も当然あり。パイクとマックです。前話でステッキィーと会っているはずなのに、そのことをすっかり忘れてしまっています。
なお、ステッキィーは漫画版にも登場しますが、アニメ版とは全く異質です。
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戻ってこないステッキィーにかわり、ゲルゴンが次に指名したサップスは、2号スピーデル。
口から強力な網目状の糸を吐きあらゆるものをからませる、見た目もまさにクモ男。イモシからもらった強力武器のクラックガンを持って地球に入り込み、大勢の一般市民を糸でからめて人質にする。
そして彼らの命に期限を定め、マスコミをも利用して遊星仮面をおびき寄せようとするが、仮面はいっこうに現れない。
じつは遊星仮面―――ピーターはその頃、リンダやジョージ(5話に登場)たちとの遊びの最中に、ふざけた彼らによって地下室に閉じ込められていたのだ。彼が市民たちのことを知ったのは、地下室の中に置いてあったラジオからであった。
ピーターを閉じ込めたことを忘れていたリンダが、あわてて地下室に向かった時には、彼はもう中にはいなかった。
やがて期限ぎりぎりに遊星仮面は現れ、激しい死闘の末、スピーデルをいったん退却させるのであった。
絵のレベルが高く、遊星仮面とスピーデルとの戦いは、今見ても迫力あり。
「スピーデル、来るなら来い!遊星仮面は正義の味方だ!」というタンカも、気恥ずかしくも小気味いい。
ストーリーは単純ですがエンターテイメント性の高い、なかなかの作品に仕上がっています。
この話の魅力は、なんといってもスピーデル。デザインと能力がGood。
シリーズ中突出しています。唸るような低い声も魅力的で、ホイヘンスを「閣下」と呼ぶのもなかなか粋。
彼と同系列のゲスト悪役といえば、20話に出てくるサイボーグ・ギルドンぐらいでしょう。
それにしてもピーター、どうやってあの地下室から出られたのでしょう。22話同様、合鍵をつくったのでしょうか。
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遊星仮面発見のために、たまたま出会ったパイクとマイクの協力を借りて、ピーターを詮索するスピーデル。しかし確証は得られなかったため、通常の破壊工作に戻る。
パイクとマックに水を確保しておけと進言し、夜ひそかにクラックガンで水道管を次々と破壊。
翌朝、水が出ないことで、各地で大パニック。水を飲めないことで、一般市民はもとより軍隊さえもが疲弊していく。
ただパイクとマックだけは、確保しておいた水を売って大もうけ。そんなあさましいありさまを見て、ピーターの顔は怒りへと変わる。
スピーデルは次にダムの破壊へと向かう。しかし遊星仮面に阻止され、今度こそ倒される。
パイクとマックも、金を入れた袋をシューターで切り裂かれ、再び文無しに。
遊星仮面はさらに宇宙へと向かい、弱体化した地球軍を狙ってきたピネロン円盤隊の攻撃をも阻止するのであった。
スピーデルの破壊工作は、目のつけどころがGood。それに伴う混乱の描写もリアルです。
ただ、スピーデル自身の行動が、前回と比べればかなり地味で、しかもダムに落っこちてあっけなく死んでしまうのには拍子抜け。彼らしくもっとハデに暴れまわってほしかったところです。
見どころとしては、遊星仮面のシューター。シリーズ中最大数、5種類の投げ方を披露します。
それぞれの違いを見てみるのも、マニアックな楽しみになるかもしれません。
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皆様からの作品批評 第1クール(1話~13話)について】ページより、こちらもご参照ください。
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太平洋にあるカラカラ島は、特殊金属アトミニウムの産地で、それを原材料とするロボット工場があるために、守備隊が常駐する。
島民も住んでおり、カラカラ人形という特産品をつくって生計をなしている。
その島に大型ハリケーン(台風)が襲来。通信施設とレーダーがやられ、外から完全に孤立。狙っていたかのように、ゴロツキー大佐なるあやしげな将校が、部下を引き連れて最高指揮官として着任してくる。
守備隊長は納得できなかったが、身分証明書を見せられ、ビッツの命と言われては逆らうことはできない。言われるままにロボットの電子頭脳の交換と、アトミニウムを使っての大陸間弾道弾の製造に着手する。
そんなおり、島民の少年トミーが、偶然ゴロツキーのこめかみのピネロンマークを見てしまう。
すべてはピネロン側の策略だったのだ。
トミーとその父親は、防衛隊本部から派遣されてきた偵察機に状況を知らせるのろしをあげるが、それをゴロツキーに見られ監禁される。
偵察機は打ち落とされるものの島の事態は防衛隊本部に伝わり、テレビのニュースとして流れたことで、ピーターの知るところとなる。
ゴロツキーたちが守備隊長に正体をあかした時には、大陸間弾道弾はまさに防衛隊本部めがけ発射されようとしていた。
止めたのは遊星仮面。ゴロツキーは、自分たちの手先と化したロボットたちを次々繰り出すが、どれも遊星仮面の敵ではなかった。
勝ち目がないことを悟ったゴロツキーは、トミーを人質にして宇宙船で脱出をはかろうとするが、失敗。宇宙船ごと海に沈んでしまうのであった。
なんといってもゴロツキーさん。とんがり○ゲの彼は、シリーズ中屈指の卑怯者なのに、それを打ち消すほどのお笑いキャラ。
ロボットたちのデザインにも大爆笑。3種類あるうちの1種類は、サングラスをつけた巨大なもみがら にしか見えません(笑)。
さらには―――裸足の少年トミー君はむちむちしていてかわいい、リンダの好きなカラカラ人形はかわいくない、最後までだまされたままの守備隊長はバカ、アトミニウムだろうがなんだろうが関係なくシューターでぶっ壊す遊星仮面はバカみたいに強すぎ。
―――以上に尽きます。この話はストーリーよりキャラなのです。
他注目すべきは、遊星仮面が指笛を使わないでライダーを呼ぶこと。
宇宙船からトミーを抱いて空中に飛び出した時、手がふさがっていたため、口笛を使うのです。
こんなのこの回だけですよ。
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地球軍の戦力源を破壊し、地球をかく乱させることを目的に、サップス3人組と、彼らがそれぞれ操る巨大生物型ロボット3体が地球に送り込まれる。
具体的には、3号ガンギスが怪鳥(名前はネスパー)を、4号ドンギスが空飛ぶマンモスクラゲ(名前は不明)を、5号バンギスが巨大かぶと虫(名前ビックビートル)を操るのである。
最初に暴れたネスパーは、遊星仮面に片目を潰され、いったん撤退。続いて残り2体は、石油コンビナートやウラン燃料工場などの重要施設を次々破壊。
こうなると、最初は市民たちを動揺させないよう事態を隠していた防衛隊本部も、一転して情報公開にふみきり、賞金と引き換えに陰で操るサップスたちの情報を市民たちから求めようとする。
そんな地球側をあざわらうかのように、マンモスクラゲが原子力発電所を破壊しようとするが、遊星仮面出現。操っていた4号は負傷し、撤退する
遊星仮面への復讐に燃える3人。地球の新兵器がヒマラヤ山中の地下工場に移動するとの秘密情報をキャッチするや、TV局をのっとってあえて情報を世間に暴露し、仮面に挑戦状をたたきつける。
そして、宣言どおり輸送中の新兵器を襲うや、彼らの予想どおり遊星仮面が現れる。
しかし、ロボットたちはしょせん仮面の敵ではなかった。
追いつめられた3人は、失敗した場合でのホイヘンスからの指示通り、自爆してしまうのであった。
当時はウルトラマン放映中で怪獣モノ全盛期。それに影響されたと思われる、シリーズ中異色の作品。
物語の展開やロボットたちの動きは良いんですが、肝心のサップスたちが無個性、さらに遊星仮面が強すぎてちょっとしらけてしまいがちなのが、惜しいところ。
疑問点もあります。防衛隊本部はTVでサップス3人の写真を公開するんですが、あの時点では、彼らを見た者は誰もいなかったはずなんですけど。
いつ誰がどうやって彼らを撮ったのでしょうか?
注目点は、ピーターがリンダにピアノを教えるシーン。母マリアへの想いをこめて、彼女の十八番の曲をリンダに伝えるのです。
この曲は、9話でピーターがひいていた曲でもあります。シリーズ中の重要なBGMです。
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